熊本大学eラーニング連続セミナー


熊本大学, 総合情報基盤センター, 大学教育機能開発総合研究センター
熊本大学は、特色GPの平成15,16年度2年連続採択等、積極的にeラーニングを実 践して来ており、平成18年度には、eラーニングの専門家をeラーニングで養成 する、大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻を開設した。これらの取組 みの一環として、平成17年度には、国内外の著名なeラーニングに関する専門家 を招いて、熊本大学eラーニング連続セミナーとして計7回を開催した。

全体を通して

概要

熊本大学は、特色GPの平成15,16年度2年連続採択等、積極的にeラーニングを実 践して来た。その過程で、eラーニングに適した教授法、eラーニングを支える 基盤システムとそれらの連携、運営体制等、eラーニングを発展させていく上で の様々な障害や問題点を体験してきた。これらの解決策を模索し、世界的な連携 体制を組むことを視野にいれ、平成18年度、熊本大学として「熊本大学eラーニ ング連続セミナー」の開催を決定し、国内外の著名なeラーニングに関する専門 家を招いて全7回開催した。

参加者

平成17年度に開催した全7回を通しての、のべ参加者数は665名で、1回あたり平 均95名の参加者があったということになる。殆ど毎回のように、学内関係者だけ でなく、熊本県内外、関東地方等全国的に参加者があり、大変盛況であった。

開催通知

大学のWebページへの掲載だけでなく、総合情報基盤センター、大学教育機能開 発総合研究センターを中心として収集した、電子メールリストを用い、電子メー ルによる自動通知とWebによる参加登録によって参加者の事前把握をした。また、 各種学会、研究会等からお知らせの転送をしていただいた。ここに、深く感謝す る。

講演概要


■ 第1回
「eラーニング連続セミナー キックオフ講演会」
-- 日本のeラーニングの現在と未来 --
日時 2005年4月25日(月) 17:00 - 19:00
会場 熊本大学工学部百周年記念館
17:00 学長挨拶
熊本大学学長 崎元達郎
17:15 基調講演
「効果的なeラーニング実施の視点と今後の展開」
メディア教育開発センター理事長 清水康敬 氏
大学等が実施するeラーニングの質を保証するための視点について私見を 交えて説明します。また、eラーニングに関係する著作権法と今後の法改 定への動き、eラーニング・コンテンツの共有化と今後の展開について述 べます。
19:00 終了
■ 第2回
「eラーニングシステムの新展開」
日時 2005年5月19日(木) 17:00 - 19:00
会場 くすの木会館レセプションルーム
17:00 招待講演
「The Sakai Project: Creating a Community Source, Internet-based,Collaboration and Learning Environment」
(Sakaiプロジェクト:コミュニティソースで開発するインターネット利用 協調・学習環境の創設)
ミシガン大学教授 ジョセフ・ハーディン 氏 (Sakaiプロジェクト代表)
Professor Joseph Hardin, Sakai Project Board Chairman, University of Michigan

ミシガン大学、インディアナ大学、マサチューセッツ工科大学、スタン フォード大学、uPortalコンソーシアム、オープン・ナレッジ・イニシア チブ(OKI)は、これまで各々で独自に開発してきた、かなりの数のeラー ニング・ツールの相互利用を可能にし、さらにオープンソース・ツールと しての統合を目指しています。
(この講演は英語で行われます)
The University of Michigan, Indiana University, MIT, Stanford, the uPortal Consortium, and the Open Knowledge Initiative (OKI) are joining forces to integrate and synchronize their considerable educational software into a pre-integrated collection of open source tools.
18:00 連続セミナー第2回招待講演
「大学における教育・研究活動のための次世代情報基盤の構築に向けて」
名古屋大学情報連携基盤センター・情報戦略FS室 助教授 梶田将司 氏 (日本語版WebCTの開発者)
講演概要:
eラーニングに代表される大学におけるIT活用の促進は,費用対効果を重 んじながら各大学が独自のIT戦略に基づいて整備・運用する新しい段階に 入りつつある.本講演では,名古屋大学情報連携基盤センターにおける名 古屋大学ポータルの構築・運用や,情報戦略 Feasibility Study 室の活動, ユビキタスコンピューティング環境下での次世代コース管理システムの開 発を目指す ULANProject (www.ulan.jp, 文部科学省研究委託事業)など, 名古屋大学での研究・実践をベースとした話題をまじえながら,大学にお ける教育・研究を支える次世代の情報基盤のあり方・方向性についてに語 る.
19:00 終了
■ 第3回
「eラーニングコンテンツの新展開」
日時 2005年6月6日(月) 17:00 - 19:00
会場 熊本大学工学部百周年記念館
17:00 招待講演
「オープンコースウェアとオープンソースの動向 (OpenCourseWare and the Open Source Movement)」
マサチューセッツ工科大学教授 宮川 繁 氏 (MITのオープンコースウェア推進者)
Professor Shigeru Miyagawa, Massachusetts Institute of Technology (MIT)

MITオープンコースウェア(OCW)はMITのもつ教育・知的資源を世界中の 学習者(学生、教育者、研究者) に広く公開・還元することを目的とした プロジェクトです。OCW コンテンツは、実際に MIT で行われた講義を元 に作成されており、学習者は質の高い教材を無償で利用することができま す。このプロジェクトは世界に大きな衝撃を与え、非常に高い評価を受け ています。本公演では MIT OCW とオープンソースの動向についてご講演 いただく事になっており、同時に、MIT における eラーニングの現状など についてもお話いただく予定です。
宮川教授は MIT OCW の実施に際して中心的な役割を担ってこられた方 であり、ご自身も積極的に e ラーニングを活用した講義を展開されてい ます。
19:00 終了
■ 第4回
「効果的なeラーニング実施のための道標: インストラクショナル・デザ イン」
日時 2005年7月15日(金) 17:00 - 19:00
会場 熊本大学工学部百周年記念館
17:00 招待講演
「効果的なeラーニング実施のための道標: インストラクショナル・デザ イン」
岩手県立大学教授 鈴木克明 氏
株式会社東京海上日動HRA 研究員 北村士朗 氏
岩手県立大学大学院博士後期課程 根本淳子 氏

インストラクショナルデザイン(ID)は、eラーニングの品質向上のため の方法論として日本では近年になって注目を集めるようになったが、教育 一般の効果・効率・魅力を高めるための研究領域として30年余りの伝統に 支えられている。eラーニングを導入する場合にもしない場合にも、何を 点検すれば「よりよい講義」への糸口が見つかるかについて、IDの視点か ら手ほどきする。IDがどれほどのものかは、この講義を受ければ分かりま す。
19:00 終了
■ 第5回
「eラーニングの展開と教育改革」
日時 2005年8月30日(火) 17:00 - 19:00
会場 熊本大学工学部百周年記念館
17:00 招待講演
「eラーニングの展開と教育改革」
坂元 昂氏
(社団法人日本教育工学振興会会長/ 特定非営利活動法人実務能力認定機構理事長)


最近急激に進展しつつある欧米のe−ラーニングの状況を展望し、日本 のe−Japan戦略としての対応を述べ、ネットワークによる人類の知 の相互活用によって、対面学習を中核とした伝統的な教育観が,e−ラー ニングを中核とする教育観に逆転することを指摘し、e−ラーニング展開 上の諸課題、すなわち質保証、個有知の相互活用、知的所有権、ブレンド 学習などについて触れ、将来展望として、AENの状況を紹介し、ヨーロッ パとアジア、オセアニア、アメリカなどとのネットワーク形成を通した世 界展開を期待する。
19:00 終了
■ 第6回
「高等教育におけるeラーニング実践:信州大学および全国の先進事例から」
日時 2005年9月29日(木) 17:00 - 19:00
会場 くすの木会館レセプションルーム
17:00 招待講演
  「信州大学におけるe-Learning活用教育」
山本 洋雄氏 [信州大学高等教育システムセンター教授(e-Learning研究開発部門長)]
  信州大学では平成15年度から全学e-Learning活用教育の準備をはじめ、平 成16年度から運用を開始した。現在は全教員997名、全学生14,000名のア カウントを登録して誰でも利用できる環境になった。
e-Learning活用教育を受講している今年度(平成17年度)前期の学生にア ンケートを行った結果1,527名から回答があり、LMSの主な機能に関して有 効との肯定的意見は60%から76%であった。「今後e-Learningを受講した いか」では59%が肯定的であった。
e-Learning活用教育の推進経過と今後の動向などを踏まえて報告する。
 
「e-Learningもいろいろ」
−高等教育における様々な情報通信技術活用方法と今後の展望−

矢部 正之氏 [信州大学医学部教授(高等教育システムセンター共通教育企画部門長) /コンピュータ利用教育協議会(CIEC)副会長]
  e-Learningに代表される教育における情報通信技術の活用は、K-12(初等・ 中等教育)から高等教育、さらに生涯教育にいたるまで様々な場面で行わ れ、様々な利用方法が提案、実施されています。その中で、高等教育にお けるそれらの利活用は、教育全般で共通なものがあると同時に、高等教育 特有の課題もあり、その場面にふさわしい目標と手法の設定が必要です。
高等教育における、情報通信技術の活用の現状と、各大学が描いている将 来像を概観し、どのような利用方法が高等教育の改善に資するもので、そ のためには、どのような取り組みが求められているのか、具体的な事例も 交えて報告します。
19:00 終了
■ 第7回
「Learning GRIDとUEC's e-Learning」
日時 2005年3月3日(金) 17:00 - 19:00
会場 くすの木会館レセプションルーム
17:00 招待講演
  「Learning GRIDとUEC's e-Learning」
岡本 敏雄 氏
[電気通信大学大学院情報システム学研究科教授/ 電気通信大学e-ラーニング推進センター長]
  ヨーロッパにおけるLearning GRIDプロジェクトの紹介とそのコンセプト を生かした我々のe-Learning GRIDプロジェクト(科研費基盤研究A)の紹 介をする。さらに電気通信大学における専門性重視の相互作用e-Learning 実践について述べる。また、e-Learningにおける教育サービスの形態を Learning GRIDのコンセプトに合わせて整理し、今後のe-Learningの展開 を述べる。
19:00 終了
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