WebCT におけるサポート

太田 泰史、合林 亨、松田 英希、龍 富美子、野口 千里、清水 百合子、森永 美佐子
教材作成室

【概要】教材作成室では熊本大学で導入したLearning Management SystemであるWebCTを活用してもらうために、講義コンテンツの作成およびサポートを行ってきました。いくつかの具体例をご紹介します。

1 WebCT

当室では、WebCTの管理および講義コンテンツ作成のサポートを行っています。コンテンツ作成方法を認知して頂くために、教員向けサイト「WebCT入門」[1]を用意していますのでご参照下さい。

1.1 複数講義の一括管理

同じ内容の複数の講義でコンテンツを統一したい、実際には同じ講義だが再履修等の関係で講義IDが複数あり一度に管理したいという場合があります。こういった場合、Crosslisted Courseと言うものを作成すると、複数の講義を統一管理する事が出来ます。Closslisted Coursに複数の講座からリンクを張るイメージです(図 1)。

図1:Closslisted Course のイメージ
図1: Closslisted Course のイメージ

また、担当教員が複数いる場合でもCrosslisted Courseを管理する事で共同して講義コンテンツを作成することが出来ます。詳しくは「WebCT入門」[1]をご覧下さい。
2005年度は、前期はのべ54講義を7講義に、後期はのべ61講義を9講義に統一管理するように設定しました。

2 講義サポート

現在は WebCT を利用いただいている教員方からの質問や要望にその都度対応しております。また、一部の講義においてコンテンツ作成のサポートにも携わっています。

2.1 物理学 I・II

理学部では、高校物理を履修・未修の学生が混在しています。そこで「物理学I」および「物理学II」ではWebCTを活用して繰り返し学習する事で、学力の差を吸収することを目指しています。 当室では、WebCT上に小テスト、演習問題およびその解答例、参考資料、用語集等に掲載するサポートを行っています。詳しくは、当室の合林2005 [2]をご覧下さい。
今後も資料や用語集の充実、JavaScript や Java 等のプログラム言語を用いたシミュレーション、ランダムに問題を出題する繰り返しテスト等を作成することで、WebCT の利点を生かして個々の学生の理解度を深めていきたいと考えています。

2.2 情報基礎A・B

当室ではMacromedia Captivate [3]を導入しました。これはPC上のソフトウエアの操作方法やインターネットブラウジングなどを説明するFlashアニメーションを作成するものです。本講義において、学生にいくつかのソフトウエアの操作方法や通信の仕組み等を習得させますが、キャプチャー画像を用いたHTML形式のコンテンツだけで説明するのではなく、本年度よりCaptivateを用いたFlashアニメーションでその操作方法を説明しました(図 2)。

図2:Flash アニメーション
図 2: Flash アニメーション

今後は、ナレーションや効果音等を取り込んで、理解しやすいものを提供していきたいと考えています。

2.3 学際科目 8-1

学際科目 8-1「インターネットの発展と人間社会」では WebCT を利用したBlended Learning 形式の講義を行っています。内容は多岐に渡っていて非常に有意義なものとなっており、将来的に公開コンテンツの作成を考えていますので、映像として記録する事になりました。
撮影はデジタルハイビジョンビデオカメラを使用しました。撮影した映像はWindows Media Video形式にエンコーディングし、ストリーミング配信を行っています。 学生はWebCTの講義にアクセスする事で映像を見ることが出来ます。

3 教職員コンテンツ

当室ではWebCT上で全教職員が受講する講義コンテンツの作成に携わっています。それらには平成17年4月より施行された個人情報保護法に関連するコンテンツを含んでいます。

3.1 事例で学ぶ個人情報保護法、管理者のための情報セキュリティー

熊本大学では、セキュリティ関連の教育コンテンツとして富士通オフィス機器株式会社の「事例で学ぶ個人情報保護」[4]、「管理者のための情報セキュリティ」[5]を購入し、LMSの一つであるInternet Navigware [6]上で全教職員向けに公開しています(図 3)。ただし、受講者がアクセス先を混乱するのを避けるためにWebCT上から特別なリンクを貼っており、パスワードを再度入力することなくログインすることが出来ます。

図3:Internet Navigware のログイン後の画面
図 3: Internet Navigware のログイン後の画面

また当室では、平成17年3月23日に実施された講習会「事例で学ぶ個人情報保護」の模様の撮影を行い、その映像をWindows Media Video形式で全学的にストリーミングおよびダウンロード配信を行っています。

3.2 パソコンのセキュリティ設定をしよう

総務部情報企画課からの依頼により、全教職員のセキュリティに対する意識を高めてもらうため、「パソコンのセキュリティ設定をしよう」のコンテンツを作成し、WebCT上に掲載しました。

図4:Flashアニメーションによる設定説明
図 4: Flashアニメーションによる設定説明

講義内容はパスワードの設定、データの暗号化、外部メディアのセキュリティ等の内容で、HTML形式による説明を行なっています。また、Flashアニメーションを活用し、設定操作をより分かりやすく表現しました(図 4)。

3.3 熊本大学子育て支援に関するアンケート

総合企画室からの依頼により、「熊本大学子育て支援に関するアンケート」のアンケートを作成しました。全教職員を対象にアンケートや調査を行う場合に対しても、SOSEKのデータを反映するWebCTは有効です。今後も全学の教職員および学生に対するアンケートにご活用下さい。

4 まとめ

本教材作成室にて講義の統一管理設定、学生向け・教職員向け講義コンテンツの作成およびサポートを行いました。
今後もサポート体制を充実していき、WebCTの利点を知って頂くだけでなく、講義支援としてのWebCTの有効活用を促進していきたいと考えています。

参考文献