全学向け情報教育の近況報告
喜多
敏博
総合情報基盤センター
熊本大学では,情報分野における基礎的な知識と技能をすべての学生に習得させようとする教育体制を2002年度に開始して以来,これまで継続して実践している。情報技術の基礎事項や基礎技能の習得は, 大学における教育研究活動のためだけでなく,大学卒業後の情報ネットワーク社会において自由闊達に活躍するためにも,今や欠かせない素養だと言える。このような素養を「基本ライセンス」ととらえ,熊本大学に入学する全学生がライセンスを取得するように,eラーニング手法も活用しつつ大学として組織的に情報 リテラシー教育に取り組んでいる。この取り組みは,平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」として採択された実績を持つ。2003年度前学期には本格的にeラーニングシステム(WebCT)の導入を行った。 全学1年次生の必修科目である「情報基礎A」「情報基礎B」のテキスト(教科書)としては,独自に作成したオンラインコンテンツとしてのテキスト,資料を活用している。2006年度の「情報基礎A」「情報基礎B」は,受講生1850人を27クラ スに分け,11名の教官(内非常勤3名)で担当した。
情報教育の授業で利用する,各部局の教室に
設置された全1300台の端末の保守管理の主体は,総合情報基盤センターが担っている。各部局における端末管理者とも連携し,職員や学生からのトラブルの通知
に対し総合情報基盤センターの技術職員が率先して現地で迅速に処置,対応している。
図 WebCT上の2006年度「情報基礎A」ホームページ
情報基礎の授業の終了時には,学生へのアンケートを実施している。以下に,2005年度と2006年度に実施したアンケート結果の一部を示す。左右の図を対比させてご覧いただきたい。2006年度の1年次生は高等学校で教科「情報」を履修した世代である。その前世代(2005年度の1年次生)との差が読み取れそうな印象もある。これらの結果は,情報基礎の授業・コンテンツの内容や教え方の改善のために今後役立てる予定である。
質問: 熊本大学ではWebCTを積極的に利用しようと考えており, 情報基礎ではWebCTを利用した自習形式の授業を展開しました。 あなたはWebCTの活用をどのように評価しますか?
a. WebCTを積極的に活用し, 情報基礎で実施したような オンラインテキストとオンラインテスト(確認テスト) を他の授業でも利用してほしい。
b. 基本は、板書と教員による説明による講義が良いが、 情報基礎のようにWebCTと親和性の良い科目のみWetCTを利用するのが良い。
c. 基本は、板書と教員による説明による講義が良いが、 授業中の板書を、復習もしくは予習できるようWebCTにオンラインテキスト化してほしい。
d. WebCTは必要ない。 板書と教員の説明による通常の講義で十分だ。
質問:
「情報基礎A」に関して、積極的に勉強できましたか?
a. 積極的に勉強できた。
b. どちらかというと積極的に勉強できた。
c. どちらかというと消極的にしか勉強できなかった。
d. 消極的にしか勉強できなかった。
質問: 情報基礎では,各回の授業内容の確認と補足を兼ねた, 確認テスト(オンラインテスト)を実施しています。 オンラインテストについてのあなたのお考えをお聞かせください。
a. 学習や理解のために何度も受験できる確認テストは非常に有用である。
b. 確認テストは何度でも受験できるが, 何度受けてもあまり勉強になった気がしない
c. 自分なら,1回だけ受験できるようにした方が, もっと勉強すると思う。
d. 確認テストはあまり勉強にならないので,実施しない方がよい
質問: 情報基礎Aでは多くのことを学習してきました。 あなたが良かった,面白かった,役に立ったと 思える回を3つあげてください。 (選択肢 i, j は 2005年7月のアンケートには無し)
a. INFOSS情報倫理
b. 電子メール (Seemit の利用)
c. ワードプロセッサ (StarSuite Writer)
d. ペイント (GIMP)
e. ドロー (StarSuite Draw)
f. 情報検索
g. プレゼンテーション(StarSuite Impress)
h. スプレッドシート (StarSuite Calc)
i. ファイルの参照とレポート作成
j. インターネットの基礎知識(POP,SMTP,Webサーバの仕組み)