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はじめに

熊本第大学は、学務情報システムSOSEKI、1300台以上の教育用PCシステム、全 学無線LAN等のIT基盤整備、学習管理システム (LMS: Learning Management System)であるWebCTの全学導入、情報リテラシー教育の充実、CALL (Computer Assisted Language Learning) 教材とLMSの連携、インストラクショナル・デザ インを中核としたeラーニング専門家養成インターネット大学院である大学院 社会文化科学研究科教授システム学専攻の設立等、教育へのIT活用に積極的に 取り組んできた[1]。

この取組の過程で、複数のeラーニングシステムを活用する必要が生 じ、2004年度からは、SOSEKIとWebCT間の履修データ連携[2,3]、及 び、SOSEKI、WebCT、教育用PC、全学無線LAN等のユーザIDとパスワードの共通 化をNISやLDAP の活用で実現してきた。

ユーザIDとパスワードの共通化は、一組のユーザIDとパスワードで多くのシス テムへログインでき、パスワードを変更した場合も全てのシステムのパスワー ドが変更され、以前より利便性が向上した。しかしながら、多くのシステムを 利用する場合、その都度ユーザIDとパスワードをキーボードから入力しなけれ ばならない。

そこで、一回の認証だけで多くのシステムが利用可能になる「シングルサイン オン(Single Sign-On, SSO)」を、2006年度から、CAS (Central Authentication Service) [4]をベースに追加・変更を加え、全学的に 導入、運用を開始した。

また、シングルサインオンに対応したシステムをシームレスに使えるように、同 時に、uPortal [5] をベースに追加・変更を加えた大学ポータルの 全学運用を開始した。

情報コミュニケーション技術(ICT)による学習支援は、年々充実・拡大し、多様 化しており、学内の多くの既存システムがCASに対応し、また新たなシステム もCASに対応して導入され、ポータルの利便性は徐々に向上してきた。しかしな がら、益々多様化の方向にあり、例えば、eポートフォリオ等の新しいシステ ムの出現、Wiki、ブログ、SNS等の活用、各種手続きのオンライン化等が挙げら れ、学生、教職員の履修や担当情報等の認証以外の情報を共有する必要が増し ている。

そこで、学生・教職員の情報や講義情報などのデータ連携が重要となるが、連 携方法が問題となる。各々のシステムが、固有のデータフォーマットを持てい る場合、各々個別に対応しなければならず、非常に複雑になってしまう。そこ で、標準化されたフォーマットで、データ連携を図ることができれば理想的で あると考えられる。例えば、eラーニングに関しては、IMS, SCORM, LOM等、目 的や用途に従っていくつかの国際標準が存在する[6]。

2008年度からは、全学LMSとして運用してきたWebCTのCE4からCE6へのバージョ ンアップを機に、IMS Global Learning Consortium [7]の、IMS Enterprise Information Model [8]を標準フォーマットとしたWeb履 修管理システムやの開発[9]や、それに直結した時間 割[10]のポータル組み込み等を行った。

これらの、運用2年目を向かえた熊本大学ポータルの安定運用と機能強化への取 り組みに関して紹介する。



熊本大学総合情報基盤センター 中野 裕司   2008年9月17日(水)