前: 設置の趣旨・必要性 上: 設置の趣旨・必要性 次: 社会的・国際的背景(学内の背景を含む。)

設置の理念、目的

学務情報システムSOSEKI[3]にはじまり、eラーニングシステムの全 学導入及びSOSEKIとの連携[4]、全学情報基礎教育[5,6]、 1300台の情報教育端末や全学無線LAN等の基盤整備、情報環構想、LINK構想(地域 貢献事業)[7]、CALL、KUオンライン1、COE による世界の研究者養成、日本初のeラーニングによるeラーニング専門 家を養成する大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻 [2,8,9,10]の開設等、本学は教育における ICT(Information and Communication Technology2)化に全力で取組んできており[13]、対外的にも高く評価されている。 ここで、教育におけるICT化は、広い意味でのeラーニングととらえることがで きる。

eラーニングを推進するには、教育内容のデジタルコンテンツ化の推進が必須か つ最も重要である。教育内容や研究成果は大学の重要な資産といえるが、それら をただ単に講義ノートやワープロやプレゼンテーションファイルとして教員が個々 に保持するのでは、十分に活用することができない。教育内容や研 究成果を効率的かつ教育効果の高いデジタルコンテンツ化することによって、そ れらを継承可能かつ有形に資産化することが可能となる。具体的な方法としては、 eラーニングコンテンツとして標準化、データベース化を行うことで、再利用可 能な形で蓄積することが最適であると考えられる。

eラーニングコンテンツは、遠隔教育だけでなく通常の対面(面接)授業にうまく 取り入れる(ブレンディッドラーニング)ことで教育効果を格段に向上させること がわかってきた。例えば、繰り返し学習、自動採点テスト、学習履歴モニタ等の 活用で予習・復習を充実でき、教員も、より教育内容に専念することができる。 最近では、世界的にもブレンディッドラーニングが主流となりつつある。 eラーニングコンテンツの充実は、授業形態にかかわらず多くの講 義科目で教育効果を高めることが期待される。

日本におけるeラーニングは現在急速に浸透しつつあり、まさに過渡期にある。 熊本大学は、関連する2つの特色GP3や現代GP4取得、大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻5、COE6等、日本におけるトップランナーの一員であり、eラーニングの推進、すなわち、 教育内容のデジタルコンテンツ化を進めることは、大学としての知的資産の蓄積 を増やすばかりか、大学としての特色を全国的、世界的に打ち出すことができる。 また、現時点では、各々の分野のデファクトスタンダードを狙うことも可能と考 えられる。

eラーニング化を集中的に促進するには、その支援体制を組織的に組み、責任あ る支援体制を構築する必要がある。学内に散在するeラーニング関係者の力を集 結することによって、連携を深めるとともに効率的に教育内容のデジタルコンテ ンツ化を進めることが可能となる。コンテンツ制作支援に留まらず、eラーニン グ関連システム・アプリケーションの管理・運営・構築、コンテンツの評価、公 開、著作権、使用権等の規定の制定等を責任を持って行う組織をおくことで、円 滑で安心なeラーニング促進環境を構築できる。

このように、eラーニングが急速に拡大・浸透する過渡期において、その需要に 応えるだけでなく、積極的に教育内容のデジタルコンテンツ化を進めることによ る大学の知的資産の蓄積を目的として、図1に示すようなeラーニン グ推進機構の早急な設置を提案する。本機構の設置目的は、まさに「KUオンライ ン推進」であるが、一般的な役割の認知性を考慮して、その名称をeラーニング 推進機構とした。教育内容のデジタルコンテンツ化は、より広く捉えるとメディ ア教育の推進と言い替えることが出来る。

図 1: eラーニング推進機構設置の概念
\includegraphics[width=0.8\linewidth]{figs/needs.eps}



熊本大学総合情報基盤センター 中野 裕司   2007年8月16日(木)