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熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻(修士課程)は、2006年4 月、eラーニングの専門家をeラーニングで養成することを目的として開設され た[13]。開設にあたり、フロリダ州立大学の先行事例調査[19]等 も参考に、日本のeラーニング専門家として修得すべき素養を分析・検討し、修 了者に求めるコンピテンシーの設定と、それに基づいたカリキュラム及び授業設 計がシステム的に行われた。 このようにカリキュラムや授業内容がシステム的に設計されたため、専攻の授業 科目体系が構造化され、前提科目やコンピテンシーと科目内容の関連が明確であ ることから、専攻の学習環境の入口である専攻ポータルも、これらに基づいて設 計することが可能となった[20]。
専攻ポータルには、シングルサインオン、メインページである新着情報と学習進 捗状況、プランニング、ポートフォリオ、FAQ、コミュニティ、資料/リンクの機 能(タブ)があり、ここではその中から、メインページである新着情報と学習進 捗状況のみ紹介する。他は、[21]を参照されたい。
図6に専攻ポータルを利用した遠隔学習の流れを示す。専攻の学生 がポータルにログインすると、学習の進捗状況を中心とした各種学習サポートペー ジがあり、そこからeラーニングシステムへ飛び学習を行うことになる。
専攻の学生が実装したポータルに入ると、最初に表示されるメイン画面として、 図7のような、新着情報と学習進捗状況の表示となる。この画面のタ ブ以下は1つのPortletで実装した。ただし、上部の新着情報は、Portlet内で他 のWebサーバ上のページをインラインフレームで表示することで実現しており、 ポータル管理者が作業を行わなくとも新着情報の更新が行える。
新着情報の下は学習進捗状況の表示であり、現在履修中の授業科目全てに関し、 そのタスク(15回)と課題(3〜5個程度)の履修状況と、WebCT上の授業科目やタスク、 課題等へのシングルサインオンによるリンクを実現している。 履修状況は、受付前、受付中、〆切1週間前、〆切超過、添削中、再提出、合格、 および前提条件のクリア状況に関して、アイコンで表示している。さらに、マウ スオーバで詳細情報、例えば、〆切1週間前の場合、「提出期限が迫っています。 A月B日C時が〆切で、あとD日しかありません。」等の表示を行う(A-D は変数)。
WebCT等のLMSは授業科目を中心とした管理となり、個々の学習者毎の学習進捗状 況をはじめ、過去の講義や課題の履修状況、学習者コミュニティ等、LMSだけで はなかなか実現が難しい機能もある。これらを補完するため、教授システム学に 基づいて設計し、CASとuPortalを利用して学習ポータルを実装した。
実装した学習ポータルは、eラーニングによるeラーニングの専門家養成を行っ ている熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻で、1年半に渡っ て不具合等をその都度修正しながら運用を行ってきたが、一応安定した運用を行 うことができた。さらに完成度をあげ、全学的に応用したい。
熊本大学総合情報基盤センター 中野 裕司 2007年8月16日(木) |